CASE REPORT

上下前歯のガタガタと
乳歯の残存を伴う
インビザライン矯正症例

インビザライン・モデレート × 非抜歯矯正 × IPR × 永久歯先天性欠損

高槻ミライ歯科・矯正歯科 院長 森泉隆

この記事の監修医

高槻ミライ歯科・矯正歯科

院長・歯科医師 森泉 隆

歯並びだけでなく、永久歯の欠損や残存乳歯なども含め、将来を見据えた矯正治療をご提案しています。

今回は、「上下の前歯のガタガタが気になる」というお悩みで来院された20代の患者様の症例をご紹介します。

診査の結果、上下の前歯に叢生がみられました。一方で、噛み合わせに大きな問題はなく、横顔を確認しても口元が大きく前方へ突出している状態ではありませんでした。

また、右下5番にあたる永久歯が先天的に欠損しており、その部分には乳歯が残存していました。

今回はインビザライン・モデレートを使用し、抜歯を行わず、IPRによって歯を並べるスペースを確保しながら約10か月かけて矯正治療を行いました。

CASE DETAILS

症例概要

年齢
20代
主訴
上下前歯のガタガタ、右下乳歯の残存
診断・特徴
上下前歯部の叢生、右下5番の永久歯先天性欠損、右上2番・左上2番の矮小歯
治療内容
インビザライン・モデレート、非抜歯矯正、IPR(歯と歯の間のスペース調整)、残存乳歯の保存
治療費
660,000円(税込)
治療期間
約10か月
担当医
院長 森泉 隆
BEFORE 治療前
インビザライン治療前の正面写真
インビザライン治療前の上顎写真
インビザライン治療前の下顎写真
↓
AFTER 治療後
インビザライン治療後の正面写真
インビザライン治療後の上顎写真
インビザライン治療後の下顎写真
TREATMENT 01

上下前歯のガタガタを非抜歯で治療

治療前は、上下の前歯に歯が重なって並ぶ「叢生(そうせい)」がみられました。

治療前の上顎前歯の叢生
治療前の下顎前歯の叢生

矯正治療で歯をきれいに並べるためには、歯が移動するためのスペースを確保する必要があります。

今回の患者様は、噛み合わせに大きな問題はなく、横顔を確認しても口元が大きく突出している状態ではありませんでした。

そこで今回は抜歯を行わず、IPR(Interproximal Reduction)によって必要なスペースを確保し、歯を並べる治療計画としました。

TREATMENT 02

IPRで歯を並べるスペースを確保

IPRとは、歯と歯の間のエナメル質を必要な範囲で少量調整し、歯を並べるためのスペースを作る方法です。

今回は抜歯によって大きなスペースを作るのではなく、歯と歯の間を必要な範囲で調整し、そのスペースを利用して前歯を配列しました。

POINT

今回は抜歯を行わずIPRを利用して治療を行い、約10か月で矯正治療を完了しました。

抜歯の必要性やIPRが適しているかどうかは、歯のガタガタの程度だけでは決まりません。

歯の大きさや顎のスペース、噛み合わせ、前歯の位置、横顔などを確認したうえで、患者様ごとに治療計画を検討する必要があります。

TREATMENT 03

左右の上顎2番にみられた「矮小歯」

今回の患者様には、右上2番・左上2番に「矮小歯(わいしょうし)」がみられました。

矮小歯とは、通常よりも歯の大きさが小さい歯のことです。

矮小歯では、歯並びを整えたあとに歯の大きさや形が気になる場合、セラミック治療などによって見た目を整える方法を検討することがあります。

今回の患者様は、歯が小さいことによる見た目については気にされていなかったため、追加のセラミック治療は行わず、ご自身の歯をそのまま配列しました。

TREATMENT POLICY

矮小歯があるからといって、必ずセラミック治療が必要になるわけではありません。患者様がどこまで改善を希望されるかを確認したうえで治療方法を検討します。

TREATMENT 04

マウスピースを作り直しながら歯の動きを修正

マウスピース矯正では、治療開始時に作成したシミュレーションに沿って少しずつ歯を動かしていきます。

しかし、シミュレーション上の歯の動きと実際のお口の中での歯の動きが完全に一致するとは限りません。

そのため治療途中で歯の位置を確認し、必要に応じて再度スキャンを行い、新しいマウスピースを作製して治療計画を修正します。

今回の患者様では、治療中の歯の動きに合わせて修正を加えながら、計3回、一連のマウスピースのセットを作製しました。

インビザラインによる歯の移動シミュレーション

POINT

マウスピース矯正では、最初のシミュレーションだけで最後まで進めるのではなく、実際の歯の動きを確認しながら必要に応じて治療計画を修正することが重要です。

TREATMENT 05

右下5番の永久歯が先天的に欠損

今回の症例で、歯並びとあわせて考える必要があったのが 右下5番の永久歯の先天性欠損です。

本来であれば乳歯が抜けたあとに永久歯へ生え替わりますが、 今回の患者様は右下5番の永久歯が生まれつき存在せず、 大人になった現在も乳歯が残っていました。

右下5番の永久歯先天性欠損を確認したパノラマレントゲン写真
パノラマレントゲン写真 右下5番の永久歯が先天的に欠損し、 乳歯が残存していることが確認できます。
右下に残存している乳歯の口腔内写真
口腔内写真 永久歯が欠損している部分に、 乳歯が残っています。

永久歯の先天性欠損がある場合は、 その欠損部を将来的にどのように扱うかを考えたうえで、 矯正治療の計画を立てる必要があります。

特に乳歯が残っている場合には、 「その乳歯を残して使用するのか」「乳歯を抜歯してスペースを閉じるのか」 が大きな選択肢になります。

参考文献

Khalaf K, et al. Prevalence of hypodontia and associated factors: a systematic review and meta-analysis. Journal of Orthodontics. 2014;41(4):299–316.

TREATMENT 06

残っている乳歯をどうする?2つの選択肢

永久歯が先天的に欠損し、乳歯が残っている場合には、お口の状態によって複数の治療方法が考えられます。

今回の患者様では、大きく分けて次の2つの選択肢を検討しました。

01
OPTION

残っている乳歯をそのまま使用する

現在残っている乳歯を抜歯せず、永久歯の代わりとして使用しながら矯正治療を行う方法です。

メリット

乳歯を抜いたスペースを矯正治療で閉じる必要がないため、治療期間を比較的短くできる可能性があります。

注意点

残存乳歯をいつまで使用できるかには個人差があります。将来的に乳歯が保存できなくなった場合には、インプラント・ブリッジ・入れ歯など、欠損部分を補う治療が必要になる可能性があります。

02
OPTION

乳歯を抜歯して矯正でスペースを閉じる

残っている乳歯を抜歯し、そのスペースを周囲の永久歯を動かすことによって閉じる方法です。

メリット

矯正治療によってスペースを閉じることができれば、乳歯がなくなった部分に新しく歯を作る治療が不要になる場合があります。

注意点

乳歯を抜いたスペースを矯正治療で閉じる必要があるため、治療期間が長くなる可能性があります。症例によって異なりますが、2〜3年程度の治療期間が必要になることもあります。

IMPORTANT

どちらの方法が適しているかは、残っている乳歯の状態、歯並び、噛み合わせ、治療期間、将来必要になる可能性のある治療、治療費などを総合的に考えて検討します。

TREATMENT 07

今回は乳歯を残して矯正治療

それぞれの治療方法についてご説明し、今回の患者様は「現在残っている乳歯をそのまま使用する方法」を選択されました。

そのため、右下の乳歯は抜歯せずに残した状態で、上下前歯の叢生を中心に矯正治療を行いました。

乳歯を抜いたスペースを閉じるための大きな歯の移動を行わなかったこともあり、今回は約10か月で矯正治療を完了しました。

一方で、残した乳歯を将来いつまで使用できるかには個人差があります。

今後、乳歯を保存できなくなった場合には、その時点のお口の状態に応じて、インプラント・ブリッジ・入れ歯など、欠損部分を補う治療を検討する必要があります。

RESULT

治療結果

今回は、上下前歯の叢生に対してインビザライン・モデレートを使用して治療を行いました。

抜歯は行わず、IPRによって歯を並べるためのスペースを確保し、約10か月で矯正治療を完了しました。

右上2番・左上2番の矮小歯については、患者様が歯の大きさを気にされていなかったため、セラミック治療などは追加せず、天然歯をそのまま配列しました。

また、右下5番の永久歯先天性欠損については、残存していた乳歯を抜歯せず、そのまま使用する治療計画としました。

今後は歯並びの後戻りを防ぐための保定とともに、残存乳歯の状態についても定期的に確認していきます。

BEFORE 治療前
インビザライン治療前の正面写真
インビザライン治療前の上顎写真
インビザライン治療前の下顎写真
↓
AFTER 治療後
インビザライン治療後の正面写真
インビザライン治療後の上顎写真
インビザライン治療後の下顎写真
RISK & SIDE EFFECTS

治療に伴うリスク・副作用

  • マウスピース矯正では、決められた装着時間を守っていただく必要があります。
  • 歯の移動に伴い、一時的な痛みや違和感が生じることがあります。
  • 治療中は歯根吸収や歯肉退縮などが生じる可能性があります。
  • IPRでは、歯と歯の間のエナメル質を必要な範囲で調整します。
  • マウスピース矯正では、シミュレーション通りに歯が移動しない場合があり、再スキャンや追加のマウスピースが必要になることがあります。
  • 残存乳歯を保存した場合でも、将来的に乳歯を保存できなくなる可能性があります。
  • 残存乳歯を失った場合には、インプラント・ブリッジ・入れ歯などの補綴治療が必要になる場合があります。
  • 治療後は後戻りを防ぐため、保定装置を使用する必要があります。

※治療結果・治療期間には個人差があります。永久歯の先天性欠損や残存乳歯がある場合の治療方法は、歯並び、噛み合わせ、残存乳歯の状態、顎骨や歯周組織の状態などによって異なります。

SUPERVISING DENTIST

監修医

高槻ミライ歯科・矯正歯科 院長 森泉隆

高槻ミライ歯科・矯正歯科

院長・歯科医師 森泉 隆

本記事は、高槻ミライ歯科・矯正歯科 院長・歯科医師 森泉 隆が監修しています。

当院では、歯並びだけでなく、永久歯の先天性欠損や残存乳歯、噛み合わせなども確認したうえで、将来を見据えた治療方法をご提案しています。

CONSULTATION

まずは無料相談から

歯並びや噛み合わせを確認したうえで、現在のお口の状態やご希望に合わせた治療方法をご説明します。

01

大人になっても乳歯が残っている

02

永久歯が生まれつき足りないと言われた

03

矯正でスペースを閉じられるのか知りたい

治療方法は一つではありません

永久歯が先天的に欠損し、乳歯が残っている場合でも、必ず乳歯を抜くわけではありません。

残存乳歯の状態や歯並び、噛み合わせ、治療期間、将来必要になる可能性のある治療などを確認し、考えられる選択肢をご説明します。

それぞれのメリット・注意点を確認したうえで、ご希望に合った治療方法を一緒に検討していきます。

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